"The Host and the Cloud (film)" 2009-2010
"Players (The Host and the Cloud 2009-2010)" 2010
"Stars (Opening)" 2009

Photo by Keizo Kioku

2-3月のTARO NASUは、ピエール・ユイグ展を開催いたします。

ピエール・ユイグ | Pierre Huyghe
1962年フランス生まれ。現在パリおよびニューヨークを拠点として制作活動。 1990 年代から、映画の構造を利用してフィクションと現実の関係を探るヴィデオ作品や、美術館、展覧会、近代建築、あるいは著作権や祭事などに潜む制度に注目したプロジェクトを発表。現代美術の領域を拡大する開拓者であり越境者であり続ける、その活動の軌跡は国際的に極めて高い評価を受けている。
2001年第49回ヴェニス・ビエンナーレにて審査員賞を、2002年ヒューゴ・ボス賞(グッゲンハイム美術館)を受賞。2013年にはパリのポンピドゥー・センターを皮切りに一大巡回個展「Pierre Huyghe」がスタート、同展覧会は2014年にケルン、ロサンゼルスへと巡回した。その他の主な展覧会歴に2014年「The Host and The Cloud」(バルセロナ現代美術館、バルセロナ)、「映画をめぐる芸術 – マルセル・ブロータースから始める」(国立国際美術館、大阪 / 東京国立近代美術館、東京) など、世界各国の主要美術館・ギャラリーにて開催多数。

TARO NASUで初の個展開催となる本展は、映像作品”The Host and the Cloud”を中心に構成されます。

“The Host and the Cloud”は明確なストーリーを持たない2時間超の映像作品です。 本作品はパリ市内の郷土博物館The National Museum of Arts and Popular Traditions(現在は閉鎖)にて、ハロウィーン、バレンタインデーそしてメーデーの3日間にわたり撮影されました。

ユイグ自身はこの作品を“ある実験”と呼びました。
超現実的な裁判の情景、有名モデルによる美術館でのキャットウォーク、催眠療法を受ける患者と医師との会話、マクドナルドのキャラクターに扮した女性のダンス、館内を歩き回る裸の女性と子供といった多彩な情景や登場人物が錯綜する複数の時間の中で一見脈絡なく映し出されていきます。
彼らが即興を交え繰り広げるシーンは、すべてユイグの「実験」の一部であり、作品に対するコントロールの意識的な不徹底さは2012年のdOCUMENTA(13) で発表された「Untilled 未耕作地」プロジェクト等、後の作品への予兆とも考えられるものです。公開当時、“a journey in the mind of an absent subject”(失われた主題の心の奥への旅)とも評された本作品は、本作品以前のピエール・ユイグ作品だけでなく、本作品以降に発表された作品を読み解く手がかりが隠された、巨大な迷宮のような存在と言えるでしょう。

本展では2009-2010年発表の”The Host and the Cloud” をはじめ、映像に登場するモチーフを作品化した立体作品やロサンゼルス郡立美術館LACMA出展の最新作品を含む、過去5年間にわたる作品を出展いたします。本展がピエール・ユイグという魅力的な作家の紹介の場となれば幸いです。

[“The Host and the Cloud”上映時間]
※2/7より上映時間を変更いたします。
10:30 -12:31; 13:00-15:01; 15:30-17:31