"Trilogue" 2020
"You would come back there to see me again the following day." 2016/2020
Photo by Kei Okano

TARONASUでは7月10日より津田道子個展『トリローグ』を開催いたします。

津田道子 | Michiko Tsuda
1980年神奈川生まれ。東京芸術大学大学院映像研究科で博士号を取得。映像の特性にもとづいたインスタレーションを制作。近年は、神村恵とのユニット「乳歯」としてパフォーマンスも行う。主な展覧会に2019年「あいちトリエンナーレ2019: 情の時代(Taming Y/Our Passion)」(西町会館・四間道場 伊藤家住宅、愛知)、「Arts Towada十周年記念 インター+プレイ展 第1期」(十和田市現代美術館、青森)「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、東京)、「art trip vol.03 in number, new world / 四海の数」(芦屋市立美術館、兵庫)、2016年「オープン・スペース 2016 メディア・コンシャス」(ICC、東京)など。主な個展に、2017年「Observing Forest」(Zarya現代美術センター、ウラジオストク)2015年「The Day After Yesterday」(TARO NASU、東京)、2012年「配置の森の住人と王様」(ICC、東京)などがある。2019年にACCのグランティとしてニューヨークに滞在。

 

存在の実感を支える重要な要素となる空間と時間の感覚。

映像やパフォーマンス、この二つについて一見手間のかかる方法で取り組むことが、私にとっては率直にそれらと向き合うことである。どちらの形態も時間を扱う自覚が、その作品の深度に関わると考える。今回出品する作品は、撮影中のスタジオに人を呼びたいと考えたことから始まり、カメラ、プロジェクションと鏡が混在する展示空間に、素材としての時間を取り入れている。」津田道子

津田道子は空間把握と時間把握に関わる知覚の操作によって人間の認識能力の危うさや、その危うさゆえにかいまみることのできる幻想の豊饒さについて考え続けてきた。津田の得意とする、鑑賞者をいわば「共犯者」として展示の要素にとりこむインスタレーション。「誰かの知覚が把握した空間」という、常に鑑賞者の視線と動作によって揺らぎ続ける不可視の存在を示唆する津田の作品は、変化し続ける仮想空間の「記憶」を「記録」としてとらえるための装置なのである。

今回発表される新作インスタレーションは、鏡や映像、テキストピースといった、これまでも津田が好んで用いてきた素材を組み合わせる内容となる。マウントフジアーキテクツ設計の個性的な展示空間のなかにおかれた津田のインスタレーションが、訪れた鑑賞者の視線の交錯を誘導するその先に現前するのは、三つの時制を有する時間概念もしくは迷路にも似た三次元の空間となるのだろうか。あるいは鏡と映像に映し出される「自分」の姿なのだろうか。今回の展覧会タイトルにこめられた「三者対話」という言葉の意味をより深く考えさせる参加型・体験型の新作展示が予定されている。

機材協力:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、ARTISTS’ GUILD、ルフトツーク