3-4月のTARO NASUは津田道子展を開催いたします。
津田道子 | Michiko Tsuda
1980年 神奈川県生まれ。神奈川にて制作、活動中。
2013年 東京芸術大学大学院映像研究科博士課程修了。(博士:映像メディア学)
主な展覧会に「GEODESIE」(モントリオール、2013)、「media/art kitchen」(バンコク、2013)、「配置の森の住人と王様」(東京、 2012)、「Holes in Gaps -cinematographic weavings from the Migratory Project」(遊工房アートスペース・東京, 2010)、「ヨコハマ国際映像祭2009」 (神奈川、2009)、「International Symposia for Electronic Arts 2009」 (ベルファースト、2009)、「version beta」(Center for Contemporary Image / ジュネーブ、 2008)、「Leonardo Art/Science Student Exhibition」 (Berkeley Art Museum / バークレー、 2008)、「Pocket Films Festival 3e」 (ポンピドゥーセンター/パリ、2007)など。
工学部出身という経歴を持つ津田道子は、一貫して映像原理の論理的な探求を重要な作品テーマとしてきました。
カメラや鏡といった人間の視覚に関わる媒体の特性を、計算された映像空間の演出によって顕在化させ、人間の視覚や空間認知に揺さぶりをかける津田の作品は、独特な空間的広がりと豊かさを備えています。
TARO NASUでの初の個展開催となる本展では、新作の映像作品を含む約3シリーズ7作品を出展予定。 空間演出とパフォーマンスに基づく新作映像作品は、2010年にACAC(青森)にて制作・発表され、2012年にはICC(東京)でも出展された代表的作品シリーズ「配置の森の住人と王様」の流れを汲むもの。本展で津田はこの新作の発表とあわせ、拾ったカメラのデータとストリートビューのスクリーンキャプチャから成る作品「《報酬》(reward)」(2009)をはじめとする旧作の再構成とインスタレーションも行います。
津田の映像作品はCG等のテクノロジーには頼らず、計算された視点に基づく演出空間のなかで実際にパフォーマーを用意して撮影されます。新作シリーズでは、パフォーマーを別々の視点から撮影した2つの映像を、片方はそのまま、片方はイメージを反転させて、並列のモニターで上映するという手法をとりました。
きわめてシンプルな手法でありながら、わずかな操作と演出によって生まれる現実離れした作品世界は、鑑賞者に意図的な混乱を引き起こし、現実世界とバーチャル・リアリティの間の細い境目に引き込みます。 「見る」という行為について問いかけ、視座を変えることによって認知する空間そのものをも変容させようとする試みは、我々が知らずの内に取込まれている「当たり前」を疑う姿勢へとつながるものでしょう。
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映像の枠の中で起こることは嘘である。嘘と分かっていながら現実だと信じようとしながら見る。見ることを疑うとき「いま・ここ」がゆらぐ。
「いま」はいつだろうか。生まれて何年何ヶ月、あれから何年、電車がくるまであと何分。
視点と対象によって変化する時間と空間の捉え方を考えることは、引き裂かれないように現実を完全にする方法を探ることである。
2015年 津田道子
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津田自身が「ロジカルな遊び場」と称した本展のインスタレーションをご高覧ください。
協力:ARTISTS’GUILD
<アーティストトーク開催>
日時 2015年4月18日(土)18:00-19:00
場所 TARO NASU
*ご予約、参加費は不要です。
出演者 津田道子(アーティスト)、神村恵(ダンサー)