TARONASUでは10月9日より、秋吉風人「Purple Green Orange」を開催いたします。
秋吉風人Futo Akiyoshi
1977年 大阪府生まれ。名古屋芸術大学大学院美術研究科修了。
2011年より文化庁新進芸術家海外研修制度にてベルリンに滞在、2018年に帰国。
現在は名古屋にて制作、活動中。名古屋芸術大学特任准教授。
主な参加展覧会に、2010年「絵画の庭─ゼロ年代日本の地平から」(国立国際美術館、大阪)、2011年「あいちトリエンナーレ」(愛知県美術館、愛知)、2013年 「さわらないでくたさい!? (常設特別展)」(豊田市美術館 、愛知)、2014年 「VOCA 展2014 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京)、2015年「Adherence」(SEXAUER、ベルリン)、2016年「if nothing else」(NON Berlin、ベルリン), 2016年「19th DOMANI」(国立新美術館、東京)、 2017年「ポーラミュージアムアネックス展2017 -繊細と躍動」(ポーラミュージアムアネックス、東京)2018年「視覚芸術百態-19のテーマによる196の作品」(国立国際美術館、大阪)、2018年「All for one」(SEXAUER、 ベルリン)、2018年「We meet only to Part」(TARO NASU、東京)、2019年「絵画の何か Part3」(港まちポットラックビル、愛知)など。 豊田市美術館や国立国際美術館他、海外でのコレクションも多数。
「Purple Green Orange」
今回、展覧会タイトルとなった紫、緑、橙の三色は、赤、青、黄の三原色の重なりが作り出す付加色である。
透明なアクリル板の上に直接絵具を重ねて描かれる秋吉風人の「naked relations」はまさに、三原色から付加色が
生成され、反発と共振を重ねながら、やがてひとつの画面へと構成されていくという過程そのものを鑑賞者の眼前に
投げ出してしまう。絵具の層の重なりはそのまま、絵具を重ねた時間の積層ともいうことができるだろう。
作品を透過して視野に飛びこんでくる展示壁のテクスチャーは、借景ともいうべき背景となって作品の一部となると同時に、
画中にたちあがった仮構の三次元空間を、ふたたび物質的存在としての絵具の重なりに還元する力をも秘めている。
物質性と非物質性のなかで揺れ動く色の層が奏でる和音と不協和音は、今そこで絵画という「事件」が起きていると
錯覚をもたらすようなみずみずしさと緊張感をたたえている。
TARONASUでの3年ぶりの個展となる今回は、2013年以来、秋吉が断続的に発表を
続けているこの「naked relations」の新作ペインティングと、絵画という概念を文字通り抽出したともいえる
絵具チューブの立体作品とをあわせて展示し、絵画の生成される場について考える内容となっている。