5-6月のTARO NASUは秋吉風人の個展を開催いたします。
秋吉 風人| Futo Akiyoshi
1977年 大阪府生まれ。名古屋芸術大学大学院美術研究科修了。
2012年に文化庁新進芸術家海外研修制度にてベルリンに滞在。
現在はベルリンにて制作、活動中。
主な展覧会に、2010年「絵画の庭─ゼロ年代日本の地平から」(国立国際美術館、大阪)、2013年 「さわらないでくたさい!?(常設特別展)」(豊田市美術館 、愛知)、2014年 「VOCA 展2014 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京)、2015年「Adherence」(SEXAUER、ベルリン)、2016年「if nothing else」(NON Berlin、ベルリン)など。 豊田市美術館や国立国際美術館のほか、海外でのコレクションも多数。
本展覧会「something too much」では秋吉風人の新作シリーズが発表されます。
「このシリーズでは主に絵を描くための道具に注目しています。」
と秋吉が言うように、本作では絵画制作のために作られている様々な道具が一枚の絵画に使用されています。絵筆やハケなど、絵を描くための多様な道具を使うこと、その道具によって生み出されるテクスチャー同士を響き合わせるというルール自体が目的化された絵画作品です。
色や形だけではなく、道具から生まれる異なった種類のテクスチャーが画面上のバランスを構成し、またその効果がはっきりと分かるよう、すべての作品は単色で描かれています。
これまでも金色一色で部屋を描く「Room」シリーズ、透明色をアクリル板に塗り重ねた「naked relations」シリーズで体現してきたように、作品の構成要素を限定的にルール化し、かつ可視化することで絵画に対する問題提起を生じさせることは秋吉の作品制作の特徴の一つです。
シニフィアンとシニフィエの世界から離れ、果たすべき目的を失った材質が生み出す効果は、その視覚的手触りをもって知覚され、絵画の物質性を強調しているようにも見受けられます。
また、その着目されている道具自体も絵画のアプリオリなルールから解き放たれ、遊戯的な画面を生み出しています。
「絵画とは何か」を常に問いかける、秋吉の新たな地平をぜひご覧ください。