"One Hundred Sonnets Sea" 1963
"One Hundred Sonnets Fish" 1963
"3 Square 1 Void" 2018
"From Map of Poetry @ Autobiography" 1966
"From Map of Poetry @ Autobiography" 1966
Photo by Kei Okano

TARONASUでは11月28日(土)よりカール・アンドレの個展を開催いたします。

本展覧会は、アンドレの代表的シリーズであるvoidシリーズの1点や小型木彫作品、文字を用いた彫刻ともいうべきコンクリート・ポエトリーのドローイング作品等、合計15点により構成されます。

カール・アンドレ(Carl Andre)は1935年アメリカ、マサチューセッツ州生まれ。
そのミニマリスティックな彫刻やインスタレーションは、彫刻の形態や空間の認識に新たな知覚をもたらす挑戦として現代美術の歴史に名を刻む存在である。

鉄や木材といった、見慣れた、そして工業製品にもなりうる素材を幾何学的に組み合わせて作られたアンドレの立体作品は、工業化の発展がもたらした大量生産・大量消費のシステムに対するアートからの応答であり、
ドナルド・ジャッドやダン・フレイヴィン等の作品とともにミニマリズム、ポスト・ミニマリズムへと移行するアートのダイナミズムの担い手であった。1969年に開催された歴史的な展覧会「態度がかたちになるとき(When Attitudes Become Form)」(クンストハレ・ベルン)、「アンチ・イリュージョン(Anti-illusion)」(ホイットニー美術館)のどちらにも出品作家として名を残すアンドレは、60年代末の美術のもっとも先鋭な問題意識を体現する存在だったといえよう。 

今回の展示では、「void(空間・虚空)」と呼ばれる、配置の中央に空白を残した鋼鉄製板の床置作品を中心に、素材である木材の存在をむき出しのまま投げ出すかのような木彫作品、言葉の意味を意図的に解釈不能にすることで文字組が見せる形態の空間性を主題にすえるコンクリート・ポエトリー・ドローイングを並べる。

色彩や意味、背景となる物語といった「余剰」を徹底的に排除し、鑑賞者の知覚を通して物質と世界を直接的に接続しようと試み続けるアンドレの作品世界は、いまなお新鮮な輝きを放っている。