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Photo by Kei Okano

 

 

TARONASUでは8月31日より、秋吉風人「We meet only to part」を開催いたします。

秋吉風人Futo Akiyoshi
1977年 大阪府生まれ。名古屋芸術大学大学院美術研究科修了。
2011年より文化庁新進芸術家海外研修制度にてベルリンに滞在、2018年に帰国。
現在は名古屋にて制作、活動中。名古屋芸術大学特任准教授。
主な参加展覧会に、2010年「絵画の庭─ゼロ年代日本の地平から」(国立国際美術館、大阪)、2011年「あいちトリエンナーレ」(愛知県美術館、愛知)、2013年 「さわらないでくたさい!? (常設特別展)」(豊田市美術館 、愛知)、2014年 「VOCA 展2014 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京)、2015年「Adherence」(SEXAUER、ベルリン)、2016年「if nothing else」(NON Berlin、ベルリン), 2016年「19th DOMANI」(国立新美術館、東京)、 2017年「ポーラミュージアムアネックス展2017 -繊細と躍動」(ポーラミュージアムアネックス、東京)2018年「視覚芸術百態-19のテーマによる196の作品」(国立国際美術館、大阪)など。 豊田市美術館や国立国際美術館他、海外でのコレクションも多数。

「We meet only to part : 逢うは別れ」

二枚のキャンヴァスを継ぎあわせて絵を描く。その二枚継ぎの絵が複数点完成したところで、それぞれをふたたび一枚ずつのキャンヴァスに分解し、いわば二分の一の絵にする。その二分の一の絵を、別の二分の一の絵と継ぎあわせて、新しく二枚継ぎのキャンヴァスに仕立て、完成作品とする。これが秋吉風人の新シリーズの制作過程である。秋吉が絵画や写真、ときには立体作品など様々なメディアで試みてきた絵画の可能性の模索は、今回、自作への自己言及ともいえる方法論によって獲得した新たな視野のもと、さらなる豊かさをたたえて展開される。

ルールの設定、偶発性の導入、多様な技法の混合、制作過程の可視化、物質性の強調。
遊戯性の表現とも解釈できるこれらの手法を用いて、秋吉は、絵画を絵画たらしめるものとは何かについて考察してきた。それは絵画についての絵画であるという点において、極めて純粋な、美術のための美術を模索する行為であり、美術以外の文脈をあえて排除するその徹底性は、それぞれの作品シリーズのタイトルに顕著な独特のユーモアとともに、彼の作品に特徴的な独特の個性となってきた。

しかし今回の新作においては社会における人間存在のメタファーともとれる要素が含まれており、作家本人もそれを否定しない。いったん構築されたルールのなかでの偶然と必然のバランス、即興性と計画性、邂逅と別離、規則のなかでの自由と自由のなかでの規則、といった要素は、社会的存在として一定のルールを許容しながらもなお、個人としての自由を希求し、予期せぬものとの出会いと受容を繰り返していく人間の姿と重ねることができる。社会のなかで人間が享受する自由ははたして本当の自由なのか。個人と個人、個人と社会の関係性をうつしだすかのような本シリーズは、7年間を過ごしたベルリンの多国籍社会での秋吉の個人的な体験をも暗示して、作家が創作のあらたなステージへと踏み出していることを感じさせるのである。