10月30日より、TARO NASUでは画廊初となるPhilippe Parreno個展を開催いたします。

Philippe Parrenoは1964年生まれ。映像、インスタレーション、彫刻、絵画、写真、サウンド、テキストとさまざまなメディアを横断的に駆使しながら人間の知覚領域を凌駕する体験を提示し続けてきた。1990年代以降の国際的なアートシーンにおけるParrenoの活躍はきわめて顕著であり、コンセプチュアルアートの新しいあり方を模索する重要な挑戦者のひとりといえよう。その、展覧会そのものをひとつのメディアとしてとらえ、時間の経過とともに変化する有機的生命体とみなす視点は現代アートの地平線を拡大する試みとして位置付けられている。

近年では人間以外の生物を視野に入れた作品制作や観客を作品の一要素として取り込もうとする制作手法や、商業映画の領域への進出も彼の新たな活動として注目を集めている。また日本国内では2024年に箱根ポーラ美術館で開催された個展「この場所、あの空」や、岡山芸術交流2025「青豆の公園」における芸術監督としての活躍などが記憶に新しい。

今回の展覧会ではParrenoの代表的なシリーズのひとつであるマーキー(照明付きの看板型立体)に加え、同じく照明型の立体作品「Happy Ending」シリーズを展示。Parrenoの作品世界において重要なモチーフである「光」を用いて空間を構成する。またクリスマスツリーをかたどった立体作品も本展示の目玉のひとつといえるだろう。クリスマスシーズンに特別な意味と機能を託されるものの、その他の季節はただ虚しく輝き続けるモミの木の存在は、Parrenoが好んで主題として扱ってきたアイデンティティの揺らぎや時間、そして光の要素をすべて包含しながら、既成概念に疑問をつきつける。

Parrenoにとって展覧会は個々の作品の集合でない。それはファンタスマゴリーを現出させる空間装置であり、時間と空間の交差のなかで断続的に進行していくある種のナラティブであり経験である。Parreno自身はときに脚本家、編集者、指揮者としてその場に介在し、鑑賞者の知覚と現実の揺らぎを演出・目撃するのである。

 

フィリップ・パレーノ
1964年フランス生まれ。グルノーブルで育ち、1990年代初頭よりパリを拠点に制作活動を行う。1983年から1988年までグルノーブルのエコール・デ・ボザールに学び、1988年から1989年にかけてパリのパレ・ド・トーキョーに設置されていたInstitut des Hautes Études en Arts Plastiquesで学んだ。
30年以上にわたり現代美術の第一線で活動し、世界各地の主要美術館や国際展において大規模な展覧会、コミッション・ワークを発表してきた。2013年にはパリのパレ・ド・トーキョー全館を使用した展覧会を開催し、同館史上初めて建物全体を使って展示を行った作家となった。2015年にはニューヨークのパーク・アヴェニュー・アーモリーの約5,000平方メートルにおよぶ空間を《H {N)Y P N(Y} OSIS》によって変容させ、当時のアメリカにおける自身最大規模の展覧会を実現した。
2016年にはロンドンのテート・モダン、タービン・ホールのためのHyundai Commissionに選出され、《Anywhen》を発表。2019年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)の再オープンに際し、周囲の環境に反応するサイトスペシフィックな「オートマトン」作品《Echo》を制作した。2021年以降、フランスのLUMA Arlesでは複数の空間にわたり作品が常設展示されている。
映像や映画の分野でも活動しており、ダグラス・ゴードンと共同監督した初の長編映画《Zidane: A 21st Century Portrait》は、2006年の第59回カンヌ国際映画祭でプレミア上映された。現在はシャルロット・ゲンズブール、ヴィッキー・クリープス、ゾーイ・サルダナが出演する長編映画を完成させつつある。

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