"Bawa / Ahungalla" 2014
"GODZILLA" 2016
"The Black Sun 1" 2014
"11"2014
"mount FUJI 1/36" 2016
"The Black Sun 1" 2014
"11"2014
"New York" 2013
"New York" 2016
"for Tove" 2015

Photo by Keizo Kioku

11-12月のTARO NASUはホンマタカシの個展を開催いたします。

ホンマタカシ| Takashi Homma
1962年東京生まれ。
1999年、写真集『東京郊外 TOKYO SUBURBIA』(光琳社出版)で第24回木村伊兵衛写真賞受賞。
近年の主な展覧会に、2014年「都市へ /TOWARDS THE CITY- camera obscura study-」(TARO NASU、東京)、 2015年「Seeing itself – 見えないものを見る」太宰府アートプログラムvol.9 (太宰府天満宮、福岡)、2016年「VARIOUS SHAPED HOSES AND SNAKE」(Post、東京)など。

本展はホンマタカシの、窓とカメラオブスキュラへの関心をテーマとする展覧会である。

カメラオブスキュラとは、ラテン語で暗い部屋を意味する。壁の穴から部屋に入り込む太陽光が、穴の反対側の壁に屋外のイメージを逆さまに映し出す。この仕組みを応用したのがピンホールカメラである。
ホンマは、建物の一部屋をピンホールカメラとし、建物の窓をシャッターレンズとした”Pinhole”シリーズを撮影してきた。暗室と窓の作り出す図像は都市を逆さまに映し出す。その情景は実際の街そのものである一方で、私たちの普段観る世界とは異なる影の世界を結実させる。
ホンマはこのピンホール写真に編集を行うこともある。例えば、黒い円をシートで被せ太陽と模した”黒い太陽”や、わざと反転させた文字や数字を加えて、逆さまの世界に正体した図像を作り出す”N.Y.”や”11”といった作品。ピンホールという作家の主観的撮影から離れた手法に敢えて編集を加えることで、一層、実世界と異世界との境界、階層が複雑化される。

ホンマのカメラオブスキュラへの関心は撮影を始めた2013年から継続している。
2015年には太宰府天満宮や鉄道芸術祭、2016年には岡山のCCCSCD by cifakaでカメラオブスキュラのワークショップを開催するなど、様々なシチュエーションで作品を制作し続けている。
作家は”Pinhole”シリーズを「都市で都市を撮る」シリーズだと述べている。そのシャッターは窓。窓は外と内、公と私を分ける境界線であり、かつ世界を捉えるフレームとなるものである。

また、ホンマの作品群の中で頻繁に撮影されている対象が窓辺である。窓を通して覗かれる風景。ピンホールシリーズとは異なる、外部の光そのままの屋外の景色。
窓をフレームとして撮影された「外」の風景を眺めるとき、写真というフレームの存在は希薄になる。建築物もまた「外」から眺めるべき構造物としての存在感を失うことで、被写体としての建築物が有していたコンテクストから解放される。そして鑑賞者とその視線を包み込む空間として、異なる意味と位置づけで画面に立ちあらわれる。

幾重にも切りとられたこれらの風景は、改めて私たちの見るという行為、そして「写真とは何か」を問いかけるのである。