"mount FUJI 9/36"
"mount FUJI 12/36"
photo by Kei Okano

3月のTARONASUはホンマタカシ個展「Fugaku11/36 -Thirty six view of mount fuji」を開催いたします。

古くからその独特の形状で「霊峰」として信仰の対象であり、日本を象徴するかたちのひとつでもある富士山。
現存最古の富士図としてしられる平安時代の「聖徳太子絵伝」に始まり、葛飾北斎の連作版画「富嶽三十六景」など日本美術の歴史においても重要なモチーフとして特異な位置を占めてきた。

進行中のプロジェクトとして現在ホンマタカシは、北斎の「富嶽三十六景」を念頭におきながら、合計36点の富士図の制作を試みているという。今回はそのうちの11点の新作(モノクローム・カラーとも)を展示する。
ピンホールカメラで撮影されたホンマの富士は、撮影後、データ化され、ピンホール写真でありながらエディションを有するイメージとなり、ひとつの山がもつ複数の姿や多彩な表情を現出させるのである。

ふたつとない、唯一無二の存在という意味を込めて「不二」と表記されることもあったという富士山。
「オリジナルと複製」という美術と写真をめぐる神話への言及、そしてこれまでもたびたびホンマが試みてきた、既存のイメージへのパスティーシュが交錯するかのようなホンマの「Fugaku」は、約1000年を超えて続く「富士をめぐる表象」にどのような新たな歴史を刻むのだろうか。